轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うつくしいにほんのれきし

美しい日本の歴史

吉川 英治

「週刊文春」1959(昭和34)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,561 字 · 37 页

青空文庫

鼻の白粉

鼻の白粉

一夜、ある映画館で私はつい飛んでもない自分の阿呆をあたりのつつましい観客たちに暴露していた。人気者のユル・ブリンナー主演の「大海賊」を観ているうち、誰もがシュンとしていたラストの恋人との別れのシーンへ来てつい私はクツクツ笑いが止まらなくなってしまったのだ。

主役の海賊のブリンナーが恋人の胸をつき放して言いつづける。『祖国のない海、定住のない海。君は連れて行けない』『君は残れ。愛すればこそ、永遠に愛すればこそ、君を連れて行くわけにはゆかないのだ』。どうもお古いセリフである。

だが私は、それでおかしくなったわけではない。ちょうど時代もこの映画が扱っている十八世紀ごろの日本にあった一組の男女を思い出して、つい二重唱に画面を観ていたせいなのだった。では日本版のそのラヴ・シーンとは何かというと、大ざっぱに言って、幕末維新の先駆をなした天誅組の首領、藤本鉄石(真金)にこんな一話があったのを、書名は忘れたがふと思い出したのである。

淡路島の洲本に、廻船や穀問屋などしている旧家があり、当時、志士達のパトロンだった。鉄石も西遊中に、長らく滞留していたことがあって、その洲本屋の娘に絵など教えているうちついいい仲になっていた。