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うつくしいにほんのれきし

美しい日本の歴史

吉川 英治

「週刊文春」1959(昭和34)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,561 字 · 37 页

青空文庫

“ままごと棚”世相

私は錯覚することがある。日本の縮図といってしまえばそれまでだが、考えてみると、東京ッてじつに不思議な風景を両極に持って、しかもそれの調和で保っている構造らしい。何よりもバランスが難かしそうだ。

“ままごと棚”世相

夕刊一面の各紙の寸鉄欄(たとえば朝日の素粒子、毎日の近事片々、読売のよみうり寸評、産経の夕拾など)などそれぞれ独自な筆鋒で諷刺と諧謔のうちに快感のある論調をみせているが、とくに毎日の近事片々には、折々、痛烈なこと対者の陣に声なからしむるような筆風がある。もう先月のことにはなるが

高利貸森脇将光が政局の中心と

なる。結構な国の、結構な政治。

とやったなど、一例といってよい。とかく汚職というような活字も一般観念からして何か麻痺状を呈しているようだが、こう書かれると今さらのごとく現代の奇怪な国会風景に肌を寒うせずにいられなくなる。

誰かが『現代は、いくら内閣が代っても、結局、田沼内閣になっちまう』と言っていたが、この言葉にも半分の真理は観ていい。もちろん収賄はその破廉恥さや利官意識からいっても、二重三重な罪悪だが、同様に、それをさせる贈賄の風潮にも、もっと厳しい社会悪としての蔑視と糾弾をお互いに持ち合わなければ駄目なんじゃないかしら。