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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页

青空文庫

」

空襲騒ぎが一段落して家へ入ったら、敷きっぱなしの蒲団の上に玄関の障子が倒れて、硝子がはずれていた。蒲団の上だったので硝子は壊れてはいなかった。太宰さんは硝子のはずれたのは天の与えとばかり、馴染みのスタンドへ持参し、これを交換物資として酒を所望したのである。「罪と罰」に出てくるマルメラドフなる酔漢は、女房の靴下を呑んでしまうのだが、太宰さんは障子の硝子を呑んでしまったわけである。酒呑みたる資格に於て、いずれが兄、いずれが弟であるか、ドストエフスキイ先生に借問したいところではある。

「そんなに近くに落ちたのですか?」

「近いのなんのって、僕の家を中心にして、この小さい一町内に集中爆撃なんだ。来る飛行機、来る飛行機が落っことしてゆくんだ。それも二五〇キロ、五〇〇キロという大物ばかりなんだ。」

「それは大変でしたですね。始めからくわしくお伺いしたいですわ。」

「四月二日未明、あの時限爆弾というやつを初めて使用した時の空襲だよ。その四、五日前に女房子供を甲府の女房の里に疎開させてね、ここには僕と小山とがいたんだ。また小山が話に出てくるが、先生も端役ながら一役を勤めているから、カットするわけにはいかない。