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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
夕張の宿
北海道の夕張炭坑に、弥生寮という炭坑夫の合宿がある。ある日、寮生の一人で坑内雑夫をしている順吉というのが、痔の手術をするために炭坑病院に入院した。順吉にはまえから痔の気があったのだが、坑内で働いているうちに悪化したのである。附添いには寮の掃除婦をしているおすぎという寡婦が附いていった。
おすぎの夫は、坑内の人車捲きの係りをしていたのだが、仕事の帰りに、疾走してくる材料運搬車に跳ねられて頓死した。一年まえのことである。殉職という名目は成り立たず、会社からはわずかな見舞金しか貰えなかった。それに夫の芳三というのが、ふだんから会社側の気受けがよくなかったのである。芳三は元来掘進夫で、仕事はよくやったが気性の荒い男であった。現場で係員と喧嘩して傷を負わせたことがある。起訴されて執行猶予になった。会社の方はべつに馘首にはならなかったが職場を変更されて、採炭には直接関係のない坑外の人車捲きの係りに廻された。芳三のような男にとってはとろくさい仕事であったが、それでも無難に勤めていたのである。夫婦の間にはトシという娘があった。その不慮の死の際、芳三は三十二であった。