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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
わが師への書
それは一冊の古ぼけたノートである。表紙には「わが師への書」と書いてある。あけると扉にあたる頁に「朝を思い、また夕を思うべし。」と書いてある。内容は一人の少年が「わが師」へ宛てて書き綴った手紙の形式になっている。これも青春の独白の一つであろう。以下その中の若干をここに抄録する。
先生、僕、ふと思うのですが、先生は鳥打帽がお似合いではないかしら。なんだかそんな風に思えてなりません。唐突にこんなことを云って、可笑しな奴だとお思いですか。でも、僕、いつも先生のことを想うときには、先生はきっと鳥打帽が似合うに違いないと独断してしまうのです。鳥打帽の似合うお年寄りは、僕好きです。僕はいまとても嬉しいのです。到頭先生に話しかけることが出来たということが。僕は至って小胆者で人と朝晩の挨拶を交わすことさえ満足に出来ない奴です。先生だからこそ、しょっぱなからこんな風に始められたのです。僕は先生には何んでも聴いて戴けるような気がします。僕はみんな話します。僕がどんな奴だか、追々お分りになるでしょう。
中学校の入学試験の際、口頭試問で将来の志望を問われた時、医者になりたいと僕は答えました。