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やぶのうぐいす
藪の鶯
三宅 花圃
「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页
第八回
たちまちせわしく立たんとして。またおもいかえす由ありてか。なおも伺いいたりけり。
馬丁「だがの考えて見りゃア珍らしくもねえやつよ。おれっちが行くとこはみんな位のいいうちだが。大げえはなんかしらなんくせつきだ。
車夫「一体それが西洋がっているやつにおおいじゃアねえか。
馬丁「ナアニそれりゃアまだ世がひらけねえからだとよ。何てッだって。今晩はとシチンの帯かなんかぶらさげた腰ッぺたを。いつの間にかチャボのけつのようにおっ立てやがって。すましている時節だろうじゃアねえか。この間舌長さんがうめいことをいッたぜ。今の時代は道楽時代という時代だとヨ。女といちゃつきたい時は西洋風を持ち出すし。権妻を置きたい時には昔風を持ちだすし。かたでらちくちゃアありゃアしねえとよ。だがお互いのようにレコがなくッちゃア。道楽時代もあてになりゃアしねえアハハ」何たわいなき咄しの内勝手の方に。
「山中さんのお立ちですよ」勤はいそぎ立ち上り。それかあらぬかさまざまに。くるう心のこま下駄も。音たてさせじと忍び足。庭の方へぞかえりける。
第八回
暑さは金をとかすともいうべきほどの水無月に、遊船宿と行燈にしるせる店へ。