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ようきなきゃく

陽気な客

山本 周五郎

「苦楽」苦楽社、1949(昭和24)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,086 字 · 46 页

青空文庫

……おれはげっそりした。けれどもそれで酔いがさめるというほどごたいそうなわけでもなかったんだが。

――おれたちはまた毎晩のようにつながって飲みだした。知れたことさ。いやそうばかりでもない、天青は倍くらい元気になった、金もなかなか持っているらしい、勘定で飲めるところは勘定で飲んだが、これまではいったことのない鉄ちり屋だの関東煮などの赤い大提灯のぶら下がった家などへもはいり、そこでは金を出してちゃんと支払いをした。……おれは訝しいというよりも心配になってきた、だってそんな筈があろうようには思えない、どうかするとこれには不愉快な結果がともなうことになるかもしれない。おれは云ってみた。

「こんなぐあいにやっていて大丈夫ですか仲井さん、あんまりなにしてまた……」

「びいさいれんす、きみはまだそんなちっぽけなことを心配しているのか、きみには仲井天青がそのくらいにしきゃみえないのか、……その小賢しい口を閉めろ、そして飲みたまえ、ぼくはぼくの野心のいかなるものかを知っている、計画もみとおしもついている、きみはきみを信じなければいかん、飲みたまえ」

彼は文壇の流行作家をひと舐めに嘲弄する、劇壇の大家には憐れみの冷笑をあびせる。