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しゃべりすぎる
饒舌りすぎる
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1962(昭和37)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,957 字 · 55 页
「仔細はこのとおりだ」と云って十太夫は土田を見た、「そっちに異存があれば聞こう」
土田正三郎は高い空を見あげ、唇を舐めながら、暫くのあいだ黙っていた。
「よし、もうそのくらいにしろ」と十太夫が云った、「土田はいつも饒舌り過ぎる」
土田正三郎はてれたような苦笑をもらし、十太夫はおうと吼えながら、力をこめて、右手の拳を空へ突きあげた。若い精力が躰内に満ち溢れていて、どうにもじっとしていられない、というふうな声であり動作だった。
「少し寒くなったようだな」土田が云った。
「待て、まだ話が残ってる」と十太夫が遮った、「土田はこれから枡平へゆくんだ、今日はもとより、これから先も暇があったら、自分ひとりで飲みにゆくんだ、わかるか」
土田正三郎は眼を細めた。
「おい、先ばしったことを思うな」十太夫は土田がなにか云ったことを制止するように続けた、「まず聞け、いいか――安川のしづがなぜおれを良人に選んだか、その理由がわかるか」
土田は黙っていた。十太夫はすぐに続けた。
「それはな、おれが一人で安川へいったからだ、初めからの計画じゃない、しづが未婚のままにうちにいると聞いて、どんなふうに変ったかを見たうえ、まだあのころのように美しかったら土田もさそってゆくつもりだった、嘘じゃないぞ、本当にそう思って訪ね、しづと二人だけで話した、その