轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
う
鵜
山本 周五郎
「講談倶楽部」博文館、1954(昭和29)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,733 字 · 38 页
と舌打ちをするのが聞えるようだったので、二人は思わず笑いだした。すると鵜は、その笑い声におどろいたように飛びたち、水面を低くかすめながら、源ノ森のほうへと飛び去っていった。
「いやだわ」ただこが笑いながら云った、「あの鵜はよっぽどしんまいなのね」
「そうらしいな」
「うちへ帰ってなんて云うかしら」
「黙ってるだろうね」
「そうね」とただこが云った、「――黙って、当分しょんぼりしているわね、きっと」
二人は笑いやんだ。
砂糖漬の杏子で茶をのんでから、二人は別れた。こんどはただこが先に帰り、半三郎があとに残った。別れるとき、ただこはそっと彼に抱かれた。
「ではまた明日」ただこは囁いた、「あの淵でね」
「あの淵で」と半三郎が云った。
ただこが去ると、彼は急に暑さを感じた。まるでただこが涼しさを持っていったように、むしむしと暑くなり、汗がにじんできた。彼は「はちや」と印のある団扇を取り、寝ころんで池を眺めた。
すると濡縁の向うへ、若侍が一人来て立った。木戸のほうから来て、そこに立ってこっちを見た。二十三、四歳の、蒼白く痩せた、ひよわそうな若者であった。
「なんだ」半三郎が云った、「なにか用か」