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ふしぎなひと

ふしぎな人

江戸川 乱歩

「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页

青空文庫

、世間には、二十めんそうのほうが、よく知られていますので、このお話では、二十めんそうの名でよぶことにしましょう。

さて、この二十めんそうは、いったいどこへかくれてしまったのでしょう。二十めんそうほどのやつですから、海でおぼれ死んだはずはありません。どこかへおよぎ着いて、身をかくしたにちがいないのです。

しかし、二十めんそうにつれ出された、木村たけしくんときみ子ちゃんが、ぶじに帰ってきましたので、木村さんのおうちでは、おとうさんもおかあさんも、大よろこびです。

「たけしも、きみ子も、ずいぶんおそろしいめに会ったね。だが、もうだいじょうぶだよ。二十めんそうは、どこかへかくれてしまって、二度とこの家にはやって来ないだろうからね」

たけしくんときみ子ちゃんのおとうさんの木村さんは、ふたりの頭をなでながら、にこにこしていうのでした。

「こわかったよ。でも、おもしろかったね、きみちゃん。ヘリコプターに乗ったし、モーターボートに乗ったし……。モーターボートは、はやかったねえ。さあっと水を切って走るんだよ。あんまりはやいので、ぼく、もうすこしで、気が遠くなりそうだった」