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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
木村さんの目は、おそろしくぎらぎら光っていました。ぞっとするような、こわい目です。
それは、おとうさんにちがいないのですが、なんだか、えたいの知れないかいぶつにでも出会ったようで、すこしも親しみがなく、ただ、おそろしいばかりでした。
たけしくんは、しばらくにらみあっていたあとで、そのままものもいわないで、にげるように自分のへやへかけこんでしまいました。
「へんだなあ。おとうさんが、あんなおそろしい顔をしているのは、はじめてだ。おとうさんは、病気なのかしら。それとも……」
たけしくんは、ベッドにはいって、そのことばかり考えていました。あのおとうさんのこわい目が、どうしてもわすれられなかったのです。考えているうちに、だんだんおそろしくなって、からだが、がたがたふるえてくるのでした。
そのあくる日、たけしくんは、学校へ行っても、おとうさんのこわい目のことばかり考えていました。
学校から帰っても、やっぱりおとうさんのことが気にかかるので、そっと、おかあさんにたずねてみますと、おかあさんも、へんな顔をして、
「パパは、しょさいにいますよ。どうなすったのかしら。