轻松读懂日语经典作品
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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
ふしぎなろうじん
そういうときの用意に、おれは、とらの皮を、おし入れの中にかくしておいたんだ。それを着て、みんなをびっくりさせて、そのまに、にげだしたのだ。おれは、けっしてつかまりはしないよ。
ところで、きみたちにいっておくが、おれは、きみたちのおとうさんに化けて、ほうせきをぬすんだ。だから、ここのうちには、きみたちの、ほんとうのおとうさんはいないのだ。
どこにいると思うね。うふふ……。ある場所にかくしてある。そして、おとうさんと引きかえに、ほうせきをもらうつもりだよ。
わかったかね。おとうさんを返してほしかったら、ほうせきをおれにわたすように、みんなにたのむのだ。ほうせきを、いつ、どこへ持ってくればいいかは、あとで知らせるよ。わかったね。じゃあ、あばよ」
とらは、それだけのことをいってしまうと、あと足で、まどのところへ歩いていき、ガラス戸を開いて、まっ暗なにわへ、ぴょいととび出していってしまいました。
ふしぎなろうじん
木村さんのうちの近くに、こうしゅう電話が立っていました。そこは、やしき町と、しょうてんがい(店のたくさんある町)とのさかい目になっているのです。
もう、夜ふけでしたから、町は、ひっそりとして、人通りもないように見えましたが、その暗い町を、コツコツと、くつ音をたてて、ひとりの大学生が歩いてきました。