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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
ポケット小ぞうは、気づかれないように、ちょこちょこと、すばやくあとをつけました。
「ははん、わかったぞ。あのふろしきの中に、とらの皮が、まるめてつつんであるんだな。こうしゅう電話のはこの中で、それをぬいで、ろうじんのすがたになってあらわれたんだ。あいつは、さっき、木村さんのおし入れの中にかくれたとき、そこに用意しておいたふくや白いつけひげで、ろうじんにへんそうしたんだ。それから、とらの皮をかぶったんだ。だから、とらの皮さえぬげば、すぐにろうじんに化けられたんだ。一分間もかかりゃしない。二十めんそうのやつ、うまいことを考えたもんだな」
ポケット小ぞうは、そんなことをぶつぶつつぶやきながら、なおもゆだんなく、ろうじんのあとをつけていきました。
ろうじんは、さびしい方へ歩いていきます。夜ふけのことですから、あたりは、まっ暗です。
すると、ろうじんが、立ち止まって、道にしゃがむのが、かすかに見えました。
「おやっ」
と思って、目をこらしていますと、ろうじんは、大きなまるいものを、地面からひき起こしているではありませんか。
「あっ、わかった。マンホールの鉄のふたをずらしているんだな」