轻松读懂日语经典作品
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ゆうれいかしや
ゆうれい貸屋
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1950(昭和25)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 页
毎晩どこかから料理と酒を持って来て、勝手なことをしゃべりながら飲んで食べて、それから外の白みかかるまで、身にこたえないのと金の草鞋がせえをだす。これが連日続いた。
「明日の晩は橋善のてんぷらといくか、それに長寿庵の小田巻なんぞ悪かあねえぜ」
どの店のどんな料理でも望みしだい、おまけに唯ときているから好きなことが云える。かてて加えてお染ゆう女、粋で利巧でてくだがあって、仕事をしろなぞとは決して云わない。
「夢ならどうかさめねえでくれ」
極楽でもこうはゆくまいと、弥六はほくほくと喜んでいた。近所の者は誰も気がつかない、いちど隣りの女房のお勘が、心配そうな顔をして次のようにきいた。
「弥六さん、このごろ毎晩ひどくうなされるようだけれど、どこか体でも悪いんじゃないのかえ」
「そうかい、うなされるかい」彼はにやにや笑いながらそう答えた、「それじゃあきっと、あれだ、お勘さんが毎晩うなされるんで、そいつがおれにうつったに違えねえ」
お勘は赤くなって、あらいやだ、などと云って逃げだしたが、それからは彼女もなんにも云わなくなった。家主からは相変らず米や味噌を届けて来る、小銭を置いてゆくこともあるが、来れば必ず小言であった。