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アパートのさつじん
アパートの殺人
平林 初之輔
「新青年 第一一巻第九号」1930(昭和5)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,579 字 · 39 页
検事(神村に向かって)「君は山上と結婚をするような約束をしたことがあるか?」
神村「はい、永久に離れまいと約束をしました」
検事(再び松木に向かって)「君は、正午に山上と別れてから、二時頃に引き返してきて、山上が、君の申し出でを拒絶したので、他に男のあることを知って、嫉妬のあまり山上を殺したんだろう」
松木「いいえ、私が二度目にその返事を聞こうと思って来たときにはたしかに、あの子は殺されていました」
検事「だまれ、ただではおかんと君が被害者に言ったのは、たしかに殺すつもりで言ったのだろう」
松木「ちがいます。その点は、前に申し上げたとおりで、私があの人の室へ行ったときはもう殺されたあとでした」
検事(欣子に向かって)「貴女は、被害者山上と、姉妹のような仲だったというが、世間の噂では、姉妹以上の仲だったということだが、それは事実か?」
植田(顔を赧くして)「……」
検事「貴女は、前には村井が被害者の室を出ていったのは三時だと言い、二度目には二時過ぎだと言ったが、どちらがほんとうなのか?」
植田「はっきりおぼえていなかったものですから……」
検事「最初の取り調べの時に、なぜ今日山上とあったことをかくしていたのだ?」