轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ノア
ノア
久生 十蘭
「富士」1950(昭和25)年2月号~4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,285 字 · 153 页
十回以上も根気よくやってみたが、定着力が悪く、錨はそのたびに泥の水底をむしりとって帰ってきた。
海難は最高潮時に起ったのらしく、そういう間にも潮はひく一方で、吃水が一メートル以上もあらわれ、なおどんどん水準が下って行く。このぐあいでは満潮を利用する離礁はとうてい望みなしということになった。
石黒少佐、阪本中尉、高桑中尉、森下少尉などの幹部が船室に集って会議をはじめた。高桑中尉は、この際、兵員のほうが貴重だから火砲を捨てて船を浮かせようといい、石黒少佐は火砲を捨てたら今回の追送の意義がなくなると主張して議論になったが、夜になるとまた荒模様になり、波がどんどん甲板を越えだしたので、目的論より離船の方法を考えるほうが先決問題になった。
石黒少佐は、陸地の近いことはわかっている。颱風がすんだばかりだから、当分、時化はあるまい。ボートが四隻、ヤンマーが二隻残っているから、このほうへ二百七十名と兵器、食糧を分載し、あとの百四十名は筏に乗せてボートで曳いて行こうといって、鉛筆で簡単な筏の図を書いてみせた。
「大体、こんな形のもの。豊富に防材を使って完全なものをこしらえれば、到着後、役に立つから一挙両得だ。