轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ノア
ノア
久生 十蘭
「富士」1950(昭和25)年2月号~4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,285 字 · 153 页
出発
「レイテって、どんなところだ」
「そうだな、台湾の山奥のようなところだと思えばいいよ」
「山奥へ入ってだな、一人でまァ三年なり五年なりやっていけるか、ということだが」
「それァやりかたひとつよ。食うものなら、ここよりひどいってことはない」
「そうか。それを聞いて安心した」
出発
翌七日の午後二時頃、足元から鳥が立つように発進命令が出てトラックで桟橋へ行き、中隊別に編成された。港内に三隻の汽船が待機していた。新光丸は赤十字のマークをつけて病院船に偽装された白塗の五千噸ぐらいの客船で、立山丸と淡路丸はどちらも二千噸たらずの古ぼけた貨物船だった。
午後四時、久慈隊の千六百名が新光丸へ乗船を開始し、午後五時、乗込みを完了すると、白衣を着た三十人ばかりの傷病兵が甲板のほどよいところへ配置され、新光丸はそれで錨をあげて出て行った。
石黒隊と浜田隊の四百二十名は立山丸に配乗された。山内が後隊についてゴタゴタと下艙へ降りて行くと、石黒隊の須田という兵長が蚕棚の下段へ大胡坐をかいて大きな声で怒鳴っていた。
「皆よく聞け。お前らは知らねえだろうが、立山丸というのはナ、明治十年に出来た船でナ、かれこれ七十年にもなる日本一の古船なんだぞ。