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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页

青空文庫

「兎に角、猪股さんやジョンソン博士のところへ行って見よう」

「ジョンソンさんは駄目だよ」

「何故?」

「明治学園、それはお金儲けの学校でありません、と来る」

「しかし卒業生の就職口を探すのは学校の責任だもの」

と私はこの問題について当局が一向努力してくれないのを不足に思っていた。

二人は先ず猪股さんを訪れる積りだったが、校庭でジョンソン総理に行き会った。

「河原さん、一寸待て」

と博士が呼んだ。

「この間は有難うございました」

と私はお礼を述べた。先頃、卒業生一同が招かれて、晩餐の御馳走になったのである。

「一向」

「先生」

「何うですか? この頃は」

「それについて、一寸伺いたいと思っていたところです」

「お出なさい。野崎さんも」

と博士が誘ってくれたのを幸いに、私達はお供した。

「先生、私達はこれから何か仕事をしたいのです」

と私が切り出した。

「仕事、結構。何しますか?」

「それが分らないのです」

「神さまの御心に叶うの仕事、それ、見出すこと大切です」

「私達はもう卒業しましたから、自分でやって行かなければなりません。何かしたいと思います」

「何しますか?」

「それが分らないのです」