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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页

青空文庫

級長は長谷川さん、副級長は町役場の小松さんと始終定っていた。年長者だから押しが利く。東京帰りの隈本君も口ほどの乱暴者でなかった。

最初私達は長谷川さんを諢い半分に長谷川先生と呼んだ。

「先生はよしてくれ給え。同級生じゃないか?」

と長谷川さんは御機嫌が悪かった。

「それじゃ長谷川さん」

「何だい?」

「あなたはお幾つですか?」

と私は訊いて見た。安井君初め数名から頼まれたのだった。

「十八だよ」

「本当ですか?」

「嘘をつくものかね。君は幾つだい?」

「僕は十五です」

「それじゃ三つしか違わない」

「先生を何年していたんですか?」

「そんなことは何うでも宜いじゃないか?」

と長谷川さんは年の詮索を好まなかった。

「小松さんはお幾つですか?」

と私はこれも序に頼まれていた。

「僕かい?」

と小松さんは頭を掻いた。

「えゝ」

「長谷川君と同じだよ」

「本当ですか?」

「妙に疑るね」

「然ういう次第でもないですけれど、皆が訊けって言うものですから」

と私は弁解して置いた。それは入学早々のことだった。それから間もなく、この二人の年長者が一日欠席した。大きいのがいないから目に立って、

「何うしたんだろう?」