轻松读懂日语经典作品
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
「グッド・アフタヌーン」
と挨拶した。猪股先生は立ち止まって話し込んだ。私は英語を習い始めて満四年になるが、舶来のは初めて耳にする。グッド・アフタヌーンが分った丈けで、残余は些っとも歯が立たない。野崎君も同感らしく、ポカンとして首を傾げていた。猪股先生は最後に私達の入学のことを知らせたのだろう。
「ドクター・ジョンソン、云々」
と言いながら、私達を指さした。これがジョンソン博士かと思って、私はお辞儀をした。
「Very glad to see you. お芽出度う」
と博士は毛だらけの手を出して、私達の手を握った。握手だ。これも初めてだった。
「総理です。ドクター・ジョンソンです」
と猪股先生が紹介した。博士は、
「この明治学園、他の学校と違う。神の道を教えるの学校」
「イエス」
と私は生れて初めて英語を使って見た。
「金儲け教えるの学校でない」
「イエス」
「明後日入学式。チャペルで又話しましょう。グッド・バイ」
「グッド・バイ」
と今度は野崎君が使った。
間もなく寄宿舎に着いた。猪股先生は中へ入らずに、
「音さん!」
と呼んだ。
「はあい!」
と答えて、小使が出て来た。