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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页

青空文庫

「人を議すること勿れですか?」

「汝等も亦議せられん」

「ハッハヽヽ」

「ハッハヽヽ」

野崎君と赤羽君はナカ/\帰って来なかった。安部君は尚お話しこんだ後、折から戻ったばかりの吉田君を紹介した。それから私は独り机に向って、郷里の両親と占部牧師に手紙を書いた。

「おい」

と野崎君が赤羽君と一緒に帰って来た。

「何処へ行ったんだい?」

「赤羽君と二人で蕎麦屋へ行って、刎頸の交を結んで来た」

「大に胸襟を開いて来たよ」

と赤羽君は老若男女の相好を崩した。後から聞いたが、二人とも強がって酒を飲んで見たのだった。しかし些っとも甘くないことが分って、禁酒を誓って来た。大に勉強する約束もしたのらしい。

翌朝、入学式があった。九名の新入生の中、四名まで姿を見せない上に、二年生が二名総欠席をしたものだから、私達は唯五名、広いチャペルの真中にチョコナンとして坐っていた。そこへ先生方が和洋取り交ぜて十数名、威儀を正して入って来て、ズラリと壇上に居流れた。

「何うですか? もっと前へ出て来て下さいませんか?」

と幹事の猪股先生が招いた。私達は一番前の腰掛へ進んだ。次に、

「一つの腰掛に一人宛かけて下さい」