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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
私なんかそれはつらいのよ。一日じゅう騒々しくて、じっとものなど考えられるような時はありませんわ。
唯円 ほんとにもっとたびたび会えたらねえ。
かえで この前の時だって、ねえさんがとりなしてくださらなかったら会うことはできなかったのですわ。
唯円 浅香さんはどうしていられます。
かえで 善鸞様がお帰国あそばしてからは、それはさびしい日を送っておられます。
唯円 あのかたのおかげであなたに手紙があげられるのです。この前も私は夜おそくまで起きてあなたに長い手紙を書きました。そしてその手紙をふところに入れて外に出ました。外は水のような月夜でした。私はとても会えないとは思いながら、おのずと足が木屋町のほうに向いて、いつしか松の家の門口まで行きました。二階の障子には明かりがさして影法師が動いていました。あすこにはあなたがいるだろうと思いました。私は去りかねてそのへんをうろうろしていました。すると浅香さんが出て来たのです。私は手早く手紙を渡して急いでお寺へ帰りました。
かえで あの夜階子段の下の薄暗がりで、ねえさんが、いいものをあげましょうと言って何かしらくれました。私は廊下のぼんぼりの光で透かして見ました。