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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页

青空文庫

私が十三の時におとうさんがなくなってからは、おかあさんと二人でそれは苦労したわ。御飯も食べない時もあったわ。そのうちにおかあさんが病気になったのよ。それからはもうどうもこうもならなくなってしまったのよ。そのころの事よ。私は村はずれのお地蔵様に毎日はだし参りをしました。おかあさんの病気がなおりますようにと夢中になって祈りました。私はさっき子供がお地蔵様を拝んでいるのを見て、その時の事を思い出して涙が出ました。いくら拝んでも病気はなおらないのよ。

唯円 それでしかたが無いから身を売ったの。

かえで 身を売るのがどのようなものか私はよく知らなかったのよ。十四の年ですもの。世話人が来て京に出て奉公すればたくさんお銭がもらえると勧めたのよ。おかあさんはやらないと言ったのよ。けれど私は思い切って京に出る気になったの。だっておかあさんは薬も何もないのですもの。

唯円 …………

かえで 私は小さなふろしき包みをしょって、世話人に連れられて村を出ました。村の土橋の所までかあさんが送って来てくれました。別れる時におかあさんは私を抱いて泣いて、泣いて――

唯円 たまらなかったでしょう。