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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页

青空文庫

みじめな私の姿は犬にも似ていたろう。こじき犬にも。(泣く)

僧三人、登場。唯円涙をかくし、立ちあがろうとする。

僧一 唯円殿。

唯円 はい。(立ち止まる)

僧一 少しお話があります。お待ちください。

僧二 あなたのお帰りを待っていたのです。

僧三 まあおすわりなされませ。

僧三人すわる。

唯円 (おずおずすわる)何か御用でございますか。お改まりあそばして。

僧一 実はちと伺いたい儀がありまして。(唯円の顔を見る)どうなされました。お顔色がひどく悪い。

僧二 目が血走っていますが。

唯円 …………

僧三 きょうはどちらへお越しなされました。

唯円 木屋町のほうまで。おそくなりまして。

僧一 木屋町のどこに?

唯円 …………

僧二 お勤めを怠りなさるのももうたびたびの事でございます。

唯円 相すみません。(涙ぐむ)

僧三 気をつけてもらわなくては困ります。

僧一 まだお若いとは申しながら。…………

僧二 いや、若い時こそ精進の心がさかんでなくてはなりません。私たちの若い時には、皆一生懸命に修業したものでしたよ。朝は日の出ぬ前に起きて、朝飯までには静座をして心を練りました。夜はおそくまで経を学んで、有明の月の出るのを知らなかった事もありました。