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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页

青空文庫

信心は一大事じゃ。真剣勝負じゃ。地獄と極楽との追分じゃ。人間がいちばんまじめに対せねばならぬ事だでな。だが、あなたがたは国のお寺では聴聞なされませぬかの。

同行二 毎度聴聞いたしています。

親鸞 どのように聴聞していられます。

同行三 阿弥陀様に、何とぞ今度の後生を助けたまわれとひとすじにお願い申せばいかなる悪人も必ず助けてくださると、こう承っていますので。

親鸞 そのとおりです。それでよろしい。

同行四 そこまではたびたび聞いてよく承知いたしています。それから先を詳しく教えていただきたいので。

親鸞 それを聞いて何になさるのじゃ。

同行五 極楽参りがいたしたいので。

親鸞 極楽参りはお国で聴聞なされてよく御承知のとおりの念仏で確かにできるのです。

同行六 でもなんだか不安な気がしまして。

親鸞 安心なさい。それだけで充分です。

同行一 あなたの御安心が承りたいので。

親鸞 私の安心もただその念仏だけです。

同行二 でもあまり曲がなさ過ぎます。

親鸞 その単純なのが当流の面目です。単純なものでなくては真理ではありません。また万人の心に触れる事はできません。

同行三 ではございましょうが、あなたは長い間比叡山や奈良で御研学あそばしたのでございましょう。