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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

南玉が、火種を持って上って来た。

「戸締りをしておいてくれぬか」

南玉は、火鉢へ火を入れていた。深雪は、益満が、戸締りといったのに、庄吉が立上りもしないので、ちらっと庄吉を見た。

「南玉、戸締り」

「ははっ――と、立上り」

南玉は、節をつけて、戸締りに立上った。

「深雪、庄吉は、腕を斬られた」

「は」

深雪は、益満が、何故そんな古いことを、改まっていうのか判らなかった。

「小太郎に折られた手首のことではない。ここから斬られたのじゃ」

「ええっ――それは? 何うなされまして?」

「いわば――」

と、益満がいうと、南玉が、戻って来ながら

「主への心中立かの」

庄吉は、俯向いて、淋しい、右肩を眺めていた。

「毒死致した調所、あれから、密貿易の証拠品を盗み出した。その時に、斬り落されたのじゃ」

「まあ」

「庄吉は――その証拠の品を、そちに与えて、公儀へ訴え出させる所存であった。浪人にされて、島津を恨んでおろう。それには、島津を倒すのがよい――と、調所の風評を聞いて、密貿易の証拠を盗ったのは、庄吉としては尤もな考えじゃが、そうもならんで、わしが、二三考えて、訴え出ることは出た。