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みょうじのはなし
名字の話
柳田 国男
「斯民家庭 第二編第七号、第九号、第一〇号、第一一号」報徳会、1911(明治44)年7月1日、9月1日、10月1日、11月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,823 字 · 46 页
女が名主になった証拠
すなわち、数百町歩の原野を開墾するに当って、あらかじめ五町とか七町とかの面積に小割して事業の進歩に便にしたのである。これは近年の新田開墾にも常にあることで、一年で開墾が終るほどの小面積であれば良いが、五年も六年もかかるとなると、一方で開墾を進めてゆくと同時に、他の一方では既墾の田地に食料を生産しなければならぬ。今日の村の字にしばしば一番割・二番割などという地名のあるのはこのためであります。ことに同じくらいな身分のものが共同開墾をする場合には、銘々の持場持場を決める必要がある。この小区割を名づけて名といったことは、今日ではもはや疑いがありませぬ。多くの場合においては開墾者は、その家族の者に一つずつの名を分けてやったらしい、すなわち下受開墾者たる特権が不可分のものでなくして、土地に伴なっていたらしいのであります。
女が名主になった証拠
名という文字はいくらも今日の地名となって残っております。九州方面では、肥前北高来郡などでは、小字にはことごとく名の字が付いた所もある。東国の地名では妙に聞える公文名などという地名は、つまり荘園の書記の持っている名田の地ということであります。