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みょうじのはなし

名字の話

柳田 国男

「斯民家庭 第二編第七号、第九号、第一〇号、第一一号」報徳会、1911(明治44)年7月1日、9月1日、10月1日、11月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,823 字 · 46 页

青空文庫

名主の名の起原

名という語の意味

はなはだしきは社寺とか権門の名義だけを借りて、僅少な名義料を「本所」に納めて、実は自分が開墾を経営した場合も少なくないのであります。

名主の名の起原

かくのごときありさまであるからして、下受人の特権も時と場合によって大小不同であるけれども、要するに下受人の中心となっている地方豪族の戸主は、一方には荘園の管理者たる名義で、かなり多くの管理料を天引するほかに、下受管理者としての有利なる条件をもって、その開墾地を持つのであります。たとえば通例の百姓ならば領家で気に入らねばいつでも立ち退かせることができる場合にでも、この者ばかりは大罪を犯さなければ子孫の相続を確保してある。年貢すなわち作米のごときも、普通の作人に比べれば三分の一にも五分の一にも満たなかったのであります。しかのみならず、ごく地味の良い水がかりの良い処ばかりを選り取りしたに相違なかった。つまり京都の荘園の主人を良い旦那にしておったのです。この下受人の特権を名づけて名田職といい、その土地を名田といっている。これは今日の名主の名の起原であります。

名という語の意味

名という語はその本来は少し不明になっておりますが、自分の考うるところによれば区別開墾地という意味であろうと思う。