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みょうじのはなし
名字の話
柳田 国男
「斯民家庭 第二編第七号、第九号、第一〇号、第一一号」報徳会、1911(明治44)年7月1日、9月1日、10月1日、11月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,823 字 · 46 页
地方豪族と荘園の下受開墾
これがすなわち荘園であります。荘園の面積は少ないものも三百町五百町、多いのは数郡にわたっておったものもあります。
そうして多くは厄介な地主でありました。境木を立てれば知らぬ間にこれを滑らせるし、面積を限っても地方官と慣れ合って縄延を多くする。要するに近代の北海道開墾の類の、今少し専横な偏頗なものであったのです。
地方豪族と荘園の下受開墾
さて、特許権を受けて新たに荘園を立てたものはいかにしてこれを開発して行くかというに、貴族はもちろん社寺の管理者でも、自分どもは京都におって安楽な生活をしていながら、収益だけを取ろうとするものが多かったのです。もともと貰い物であるがために多分の割引をも意とせずに、地方に住んでいる豪族どもに下受けをさせたのであります。もっともかりに真面目な荘園の領主があって、直接自分が開墾をしようと思っても、平素からそれだけの労働者を傭っておくこともできず、今日のごとく雇えば来てくれる労働者もないから、勢い地方の大家族の戸主と相談をするほかはなかったのであります。しかのみならず武蔵国にこれだけの原野がある。上野の奥に何百町の空閑(耕さぬ地面)があるということを知らせてくれるものはやはり地方の居住者である。