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みょうじのはなし

名字の話

柳田 国男

「斯民家庭 第二編第七号、第九号、第一〇号、第一一号」報徳会、1911(明治44)年7月1日、9月1日、10月1日、11月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,823 字 · 46 页

青空文庫

欧洲における同一慣習

支那と日本と共通の慣習

欧洲における同一慣習

スカンジナビアではこれとよく似ておって、あの国人の名字というのは多くは皆親の名から作った名字であります。たとえば「アンデルセン」の「セン」は英語の「Son」という字で、「アンデル」の子という意味であります。今では代々この家号を伝えているけれども、いずれの時代にか露西亜と同じく、本人の名の後に何某の子ということを添えて、呼んだ習慣が残っているのであります。「ソン」または「セン」という語尾のある名字は、北欧系統の諸民種、英人にも独逸人にも折々これを見かけるのです。また英国人の中に家名の頭に「マック」というのは、これまた子という意味であるから、やはり同一慣習であります。「フィッツゼームス」とか、あるいは「フィッツゼラルド」とかいう名字の「フィッツ」も同じく子供という意味であって、いずれも前述の三郎五郎、四郎太郎、権兵衛作の類によって、ただちにその由来を知ることができるのであります。

支那と日本と共通の慣習

出産の順位で人の字を呼ぶことは、西洋と共通でない慣習でありますが、支那には古くから存在しておったのです。支那では同じ家族に属する従兄弟の列まで合せて、長幼の別をもって数字の番号を付ける、その例は『唐詩選』