轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
「報知新聞夕刊」1930(昭和5)9月30日~1931(昭和6)3月12日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,554 字 · 381 页
生地獄
聞かれて見ると、母にもそれはハッキリ分らなかった。
多分どこかで車を止めて、三谷が棺を取出し、蓋を開いて助けてくれるものと、想像するばかりだ。
「若しも、アア、若しも、どうかして三谷の手筈が狂う様な事があったら、私達は、このまま火葬場へついてしまうのではあるまいか」
倭文子は、突然、心の底からわき上って来る、名状し難い恐怖にとらわれた。
生地獄
それから長い間、暗やみの動揺が続いて、やっと車が止った。
アア、とうとう、救われる時が来た。三谷さんは、どこにいるのであろう。呼んで見ようかしら、呼べば、あの人は、きっと懐しい声で答えてくれるに違いない。倭文子は、まさか本当に声を立てるようなことはしなかったけれど、激しい期待に、胸をワクワクさせながら、恋人の手で棺のふたが開かれるのを待ち構えていた。
やがて、ズルズルと棺の底板のきしむ音。いよいよいまわしい葬儀車から、おろされるのだ。棺を引出しているのは、三谷さんの雇った人夫達であろう。イヤ、ひょっとしたら、あの人もその中に混って、お手伝いをしているかも知れない。
棺は、車の外に一度おろされたが、すぐまたかつぎ上げられ、しばらくゴトゴトゆれていたかと思うと、ジャリジャリと底のすれる音、カランというほがらかな金属性の響、棺は何か金で出来た道具の上におろされた感じである