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きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

「報知新聞夕刊」1930(昭和5)9月30日~1931(昭和6)3月12日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,554 字 · 381 页

青空文庫

それはさておき、その翌日、今度は代々木の怪アトリエから程遠からぬ、O村の西妙寺というお寺の墓地に、引続いて発掘が行われた。

どういう関係か、O村には古風な土葬の習慣が残っていて、葬いがある毎に、西妙寺の広い墓地には、生々しい昔ながらの、土饅頭が築かれた。

そのことを聞き込んだ明智が、西妙寺に出向いて調べて見ると、年配も、埋葬の時期も、丁度例のアトリエの三人の娘に相当する、若い女の死人があったことが分った。

なお探って行くと、寺男の話しでは、その娘さん達を埋葬して間もなく、深夜その墓場を、怪しげな人影がうろついているのを見た、という事実さえ分って来た。

墓地の様子を見ても、どことなく異様な点があったし、それに、彼の三人に相当する家出娘がないことも、今日の墓地発掘の、重大な理由となった。

さて、発掘の、結果はどうであったか。

手っ取早くいえば、明智の想像が的中したのだ。目ざす三個の棺桶は、全く空っぽであることが分ったのだ。

イヤ、空っぽといっては少し当らぬ、棺の中には、死体はなかったけれど、その代りに妙なものが入っていた。

「オヤ、妙な紙切れが落ちてますよ」