轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

「報知新聞夕刊」1930(昭和5)9月30日~1931(昭和6)3月12日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,554 字 · 381 页

青空文庫

二人の男は、夏の末からずっとこの宿に居続けの湯治客だ。一人は三十五六歳の、青白い顔が少し間延びして見える程面長で、従って、痩せ型で背の高い中年紳士。今一人は、まだ二十四五歳の美青年、いや美少年といった方が適当かも知れぬ。手取早く形容すれば、映画のリチャード・バーセルメスをやや日本化した様な顔つきの、利巧相ではあるが、寧ろあどけない青年だ。二人共、少し冷え冷えして来たので、浴衣の上に宿のドテラを羽織っている。

二つのワイングラスが異様なばかりでなく、それを見つめているこの二人の様子もひどく異様である。

彼等は心の動揺を外に現わすまいと一生懸命になっているけれど、顔は青ざめ、唇は血の気が失せてカラカラにかわき、呼吸は喘み、グラスにそそがれた目だけが変に輝いている。

「サア、君が最初選ぶのだ。このコップのどちらかを手に取り給え。僕は約束に従って、君がここへ来るまでに、この内の一つへ致死量のジァールを混ぜて置いた。……僕は調合者だ。僕にコップを選ぶ権利はない。君に分らぬ様、目印をつけて置かなかったとはいえないからだ」

年長の紳士は、かすれた低い声で、舌がもつれるのを避けるために、ゆっくりゆっくりいった。