轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

「報知新聞夕刊」1930(昭和5)9月30日~1931(昭和6)3月12日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,554 字 · 381 页

青空文庫

暫くすると、元の客間に集まって、不安な顔を見合わせていた倭文子達の所へ、一人の書生が、真青になって、惶しく駆け込んで来た。

「確かに誘拐です。シグマが帰って来ました。こいつは坊ちゃんの為に、こんなに傷つくまで忠実に闘ったのです」

書生の指さすドアの外を見ると、小牛の様なシグマが、全身あけに染まって、悲しいうなり声を立てながら、グッタリと横わっていた。

ハッハッという、せわしい呼吸。ダラリと垂れた舌、ともすれば白くひきつって行く眼。数ヶ所にパックリ口を開いた、むごたらしい傷口。

倭文子は、廊下に寝そべっている、真赤なものを見た刹那、どこか遠い所で、同じ運命にあっている、いたいけな我が子の聯想の為に、フラフラとめまいがして、倒れ相になるのを、やっとこらえた。

彼女には、血みどろのシグマが、むごたらしく喘いでいるのが、いつまでたっても茂少年の、のたうち廻る姿に見えて仕方がなかった。

畑柳家には、執事の様な役目を勤めている、斎藤という老人がいたのだけれど、あいにく不在の為に、三谷が代って、警察へ電話を掛け、事情を告げて、茂少年の捜索を依頼した。

警察からは、係りの巡査が出向くという返事であったが、その用件をすませて、受話器を掛けるか掛けないに、またけたたましいベルが鳴った。