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あいこくしんわたしはこうおもう

和人は舟を食う

知里 真志保

知里真志保『和人は舟を食う』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『愛国心』私はこう思う、あの世の入口、生きているコタンの銅像、おば金成マツのこと、金成マツとユーカラ、学問ある蛙の話、言語と文化史、洞爺湖の伝説、日本語とアイヌ語の関係、図書館通い、アイヌ語学、アイヌ語のおもしろさ、アイヌ宗教成立の史的背景、ホッキ巻。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,567 字 · 144 页

青空文庫

アイヌの説話の中には、そのような交易について述べた物語がたくさんあるのであります。それによりますと、(一)アイヌの酋長は、ふだんはアイヌ部落にいて、狩猟なり漁撈なりを営んでおります。(二)彼は時を定めて和人の村へ交易に出かけて行きます。(三)その際、彼は壁際の衣桁から晴着をとり下して身につけます。(四)彼はその際、かねて稼ぎ貯めてあった毛皮その他を背負って行きます。(五)和人の村へ着いたら、背負って行った毛皮その他を“ムヤンケ”(muyanke みやげ)として差し出し、和人の家に“お客さんとなる”のであります。(六)そしてそこで数日滞在し、飲めや歌えの大歓待を受けます。(七)そして和人から米だの粢だの酒だの煙草だの、その他いろいろな品物をみやげにもらって、はるばる故郷の村へ帰って来ます。(八)村へ帰ると、彼は部下の人々を集めて盛大な宴会を開き、和人の村で見聞した珍しいことどもを語り聞かせ、和人の村からおみやげにもらって来た品々を一同におすそ分けして、人間の村での酋長としての権威を一層強めるのであります。

さきに述べた神々の訪れの観念と、今述べた日本人との交易の事実とを仔細に比較してみるならば、まるで符節を合わせるようにぴたりと一致するのを発見して驚くのであります。