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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
それはともかく、何者かが旗田鶴彌氏射撃に使ったピストルを、あなたは家政婦の部屋に隠した。なぜです」
「そんなことは嘘だ」
「あのとき押入の中に、小林さんの愛人の芝山宇平氏が隠れて居たんですよ。あなたがピストルを空の花瓶に入れたとき、こつんと音がしたことまで芝山氏は証言しています」
亀之介は、思わず舌打ちせした。そしてそのあとで、まずい舌打をしたと気がついて、帆村の顔をちらりと盗み見した。
「外出先から帰宅せられたあなたは、家政婦を呼び出して、コップへ水を一ぱい持って来るように命じ、家政婦が勝手の方へ行った留守の間に、あなたはピストルを持って家政婦の居間へ入り、それをしたのです。そうでしょう」
「知らんですなあ、そのことは……」
「じゃあ別の方面から伺いましょう。あなたはあの夜、三度この邸へ帰って来て居られる」
帆村が意外なことをいい出したので、係官の顔がさっと緊張する。当人の亀之介も、びくんとした。
「第一回は午後十時三十分から十一時の間、第二回は午後十二時から零時三十分の間、そして第三回は、家政婦を起して家へ入れてもらった午前二時。この三回ですが、そうでしょう」