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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
「いや警部さん。あなたがたが常に大車輪になって活動することを要求せられている現状を、まことにお気の毒に思います。予算をうんと殖やしてもらわねば、これじゃたまりませんよ」
「どうもこれは……」
と、警部は、妙なところから吹きだした風に微笑した。
「結局、すべての事件は完全に且つ速やかに解決せられなければ、民衆の迷惑は大きいわけですからね」
「それはそうだ」
警部は帆村の唱える予算増加案に礼をいおうと思っているうちに、話がまた変な見当へ向きをかえたので、こんな相手とこれ以上交際っているのがいやになった。
「おい帆村君。外にもう君独特の発見はないのかい」
見るに見かねたように、長谷戸検事が声をかけた。すると帆村は、検事の方へ身体を向け直して、片手をあげた。
「もうよしましょう。こっちから一々取上げてゆくと、お邪魔ばかりをするようですから。……ああ、もう一つだけ、おせっかいに取上げさせて頂きますかな。それは屍体が頭をもたせかけていた小卓子の上に並んでいるものの中に缶詰がありますね。これはちょっと面白いと思うのですがね」
帆村がそういうと、とたんに警部は小卓子の前へ突進した。