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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
家政婦
そのとき表がざわついた。屍体を解剖のためにこの邸から搬び出す車が到着したのであった。
家政婦
屍体が搬び出されてしまうと、惨劇のあった現場は、なんだかがらんとした感じになった。そして警戒の刑事巡査たちの面前にも、ほっとした気の弛みが浮び出た。
だが、主脳の検察官たちは、いずれもむずかしい顔を解こうとはしなかった。
「大寺君。現場について、特別に取上げて問題にしておく事項はもう残っていないかね。もしあるなら、今のうちにやって置こう」
長谷戸検事は、小卓子の前まで出て来て、大寺警部に向き合った。
「さあ。もうありませんね。……それに、現場は屍体の無い外はこのままにして置きますから、もし気がつけば、後から補充すればいいわけです。それよりは、どんどん容疑者を取調べて、早く犯人を決定したいですなあ。ぐずぐずしていると、また新聞にいいなぶりものにされてしまいますよ」
警部は、刑事巡査拝命以来この畑に十八年も勤めているので、今までに事件について新聞の報道やその扱いぶりに、少からぬ不満を持っていた。そして今のような世の中になっても、彼は一向その気持を変更するつもりはなかった。