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じごくのししゃ

地獄の使者

海野 十三

「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页

青空文庫

帆村の余興

と、長谷戸検事が、帆村の方を振返っていった。

「今、本庁へそういって、土居三津子をここへ呼ぶように手配しました。土居がここへ来るまで、外にする仕事もないから、暫く取調べは中止します。解剖の方も、今やっているところでしょうから、この報告もずっと先のことになりましょうからねえ。あなたも、ちと散歩でもして来たらどうです」

帆村の余興

帆村は、検事に礼をいって、卓上に並んでいる茶呑茶碗を一つを取上げ、温い番茶を一口啜った。

一座は大寺警部を中心に、トマトの栽培方法について、話に花を咲かせている。

そのとき帆村が、長谷戸検事に声をかけた。

「検事さん、この休憩時間に、僕にすこし訊問をやらせてくれませんか」

帆村は今までにない積極的な申出をした。

「訊問を? 一体誰に訊問をするんですか」

「とりあえず二人あるんです。一人は亡くなった主人の弟の亀之介氏。そのあとが芝山宇平という爺さんですがね」

「亀之介と芝山の二人をね」検事はちょっと首をかしげたが、やがて肯いた。

「いいでしょう。許可します。しかしここで訊問をして下さい」

「はい、承知しました。じゃあ皆さんの御座興に、僕がちょっと余興をやらせてもらいます」