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じごくのししゃ

地獄の使者

海野 十三

「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页

青空文庫

宇平の苦悶

監視の警官が、あわててその後を追いかけた。

「いかがです、余興の第一幕は……」帆村はにやりと笑って一座へ軽く会釈した。「もうすこし御辛抱を願って、第二幕を開くことにいたします。じゃあどうぞ、下男の芝山宇平をここへお連れ下さい」

宇平の苦悶

「帆村君がつっつくと、あの家政婦はだんだん色っぽくなって来るじゃないか。あれと亀之介と、これまでに何かあったんじゃないか」

長谷戸検事が大寺警部を見て笑った。

「まさか、そうじゃないでしょう。亀之介は女に不自由するような人じゃないですからね」

警部は、首を振った。

「しかし、あの兄にしてこの弟あり、ではないかねえ」

「兄は三津子のような若い美人を相手にしています、弟だって三津子ぐらいのところならいいでしょうが、まさかあの大年増の尻を追うことはないでしょう」

「まあ、もうすこし帆村君の演出を拝見していよう」

「そんなことよりも、ピストルの方を早く片づけたいものですがねえ」

「だから、今土居三津子がここへ来るじゃないか」

そこへ芝山宇平が巡査に連れられておずおずと入って来た。そして亀之介がさっきまで座っていた椅子に腰を下ろした。

「へえ、何の御用でがすか」