轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じごくのししゃ

地獄の使者

海野 十三

「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页

青空文庫

その燃え殻の紙には、鉛筆で書いた文字の痕が光って残っていました。鉛筆は石墨ですから、火で焼いても光は残って居るわけでございますわね」

「もうよろしい、君は大分仕事に慣れて来たようだ」

帆村はそういってにんまり微笑した。

「一体どうしたんだね、今の話は。まるでこんにゃく問答で、僕にはさっぱり通じやしない」

と、土居が二人の間へ割りこんで来た。

「ははは、今の話かね、こういう訳なんだ、僕が今朝君の電話で事務所を出て行ったとき、この八雲君はまだ事務所へ来ていなかった。そこで僕は旗田邸へ行ったことを紙に鉛筆で書いて、それを机の上に残して行こうと思ったが、ふと思いついて、その紙を灰皿の上で火をつけて焼いてしまったんだ。紙は焼けて黒い灰と化するが、八雲君のいったように鉛筆の痕は残っている。それに八雲君が気がつくかどうかをちょっと験してみたというわけだ。ところがお嬢さんはちゃんと気がついた。そこで及第点を与えたという、それだけのこと」

「ふーン、なるほどね。探偵商売もこれじゃ芯が疲れるわい」

土居は八雲千鳥に替って、ポケットから手帛を出して自分の額の汗を拭いた。帆村は土居を奥の書斎へ導いた。