轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よるのこうず
夜の構図
織田 作之助
「婦人画報」1946(昭和21)年5月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,068 字 · 125 页
ところが、今、信吉は観客と一緒に、いや観客以上に、新内流しのメロディにうっとりとしてしまったのだ。おかしい。
「芝居ってやつは、不思議なものだ。いや音楽ってやつは不思議なものだ。こんな凡そ非芸術的なこんな、成っちゃいない芝居が、音楽効果があるだけで、どうしておれを、こんなに陶酔させるんだろう。おまけに、音楽自身、そんなに高級な音楽というわけじゃない。たかが新内じゃないか。――批評家はこの幕をこき下すだろう。おれだって、無論いいと思ってるわけじゃない。しかし、とにかくおれを陶酔させるのだ。こりゃ一体……」
どうしたことだろうと、考えたが、信吉には判らなかった。
ところが、次の幕で冴子が端役で出て来たのを見た時、信吉ははっと胸をあつくして、思いがけぬなつかしさにしびれてしまった。
「おれは冴子に惚れているのだろうか」
この発見は信吉を驚かせた。
「――まさか」
と、打ち消してみたものの、舞台の上の冴子を見ている自分の眼が、昨日の単なる好奇的な眼と違った燃え方をしていることは、もう否定できなかった。
冴子は田舎娘に扮して、絣の着物の裾から白い脛を出していた。