轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よるのこうず

夜の構図

織田 作之助

「婦人画報」1946(昭和21)年5月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,068 字 · 125 页

青空文庫

あるものは温泉場の湯治客のように、わざと倦怠な歩き方をする。あるものは、ネクタイの結び目を気にしながら歩き、あるものは、わざとネクタイを外している。第一ホテルのような、二流のホテルでも、人は自分の家の畳の上を歩くような歩き方は出来ないのだ。

しかし、そのようなことは、どうでもよいことだ。どうでもよいことが、信吉は冴子の待っているホテルの喫茶室へはいって行きながら「おや、おれは気取っているぞ」と思った。

音楽が唄っておれば、もっと気取ったかも知れない。ダンスホールの玄関で帽子と綜合雑誌を預けた途端の男のように、気取ったかも知れない。もっとも、音楽は唄うことは唄っていた。しかし、それは軍歌であった。

(断って置くが、この小説は昭和二十年乃至二十一年の出来事を語っているのではない。昭和十七年八月の出来事なのだ。『夜の構図』という小説の作者が、第一ホテルを舞台に使っているのは、重大な手落ちだと言った人がいるが、この小説が終戦後の話ではないことは、第二章に書いて置いた筈だ。念のために断って置く)

大して気取りはしなかったが、とにかく信吉は信吉なりに、気取っていることに気がついた。