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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

それはルクレチウスの時代にもよくわからなかったと同様に現在においてもわからないことである。しかしそれができるという信念のもとに努力して来た代々の学者の莫大な努力の結果がすなわち現在の科学の塔である。

科学の高塔はいまだかつて完成した事がないバベルの塔である。これでもうだいたいできあがったと思うと、実はできあがっていないという証拠が足元から発見される。職工たちの言葉が混乱してわからなくなる。しかし、すべての時代の学者はその完成を近き将来に夢みて来た。現在がそうであり、未来もおそらくそうであろう。

このおそらく永遠に未完成であるべき物理的科学の殿堂の基礎はだれが置いたか。これはもちろん一人や二人の業績ではない。しかしその最初のプランを置き最初の大黒柱を立てたものは、おそらくルクレチウスの書物の内容を寄与したエピキュリアンの哲学者でなければならない。人はアリストテレスやピタゴラスをあげるかもしれない。前者は多くの科学的素材と問題を供し後者は自然の研究に数の観念を導入したというような点で彼らもまた科学者の祖先でないとは言われない。しかし彼らの立っていた地盤は今の自然科学のそれとはむしろ対蹠的に反対なものであったように見える。