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ぞくほうしこう

差別の根源を考える

喜田 貞吉

喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页

青空文庫

の区別がありました。しかしそれはただ身分上の区別だけで、本来人間そのものに区別があるのではありませんから、奴婢を上せて家人にすることもできれば、奴婢や家人を解放して、良民となすこともできるのであります。してみればこれは単に境遇上の差別でありまして、もちろん民族上の問題ではありません。それを国法上厳重に差別しましたのは、一つは所有者の財産権擁護と、一つは社会の階級秩序の維持のためとであったにほかならんのであります。されば個人に属した家人や奴婢が、乱世に武芸を練磨して、その主人の身辺を警固し、主人のために敵と戦うようになりましては、身分はやはり家人なり奴婢なりでありましても、実際は立派な武士であります。中世以後武士を「侍」と申すのは、主人の傍らに侍うて、身の回りの面倒をみたり、主人のために雑役に従事したためであります。しかもその侍たるものが、主人のために働いて、その主人が立派な身分のものになりますれば、侍も自然これに伴って立派な身分になります。源頼朝が征夷大将軍として、天下の政権を掌握するようになりましては、その侍たる鎌倉武士らは、相変らず家人という国法上では賤民の名称を有しながら、事実は大名小名となり、国法上良民であるはずの百姓らを、脚下に踏みにじるほどの高い身分となりました。