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ぞくほうしこう

差別の根源を考える

喜田 貞吉

喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页

青空文庫

しからば浄行の高僧を菩薩にたとえ、卑しい俗法師を声聞にたとえることは、必ずしも不可能とは言われない。それについて思い合わさるることは、中世に卑賤の僧を指して羊僧といったことがあったかにも見受けられることである。羊は本来機根の卑しい動物とみなされて、真言宗などでは羝羊心といって、下劣の根性を指斥したものだとも聞く。『※(「土へん+蓋」、第3水準1-15-65)嚢鈔』に、羊僧の語を解して、

口ニ不ルヲレ説レ法羊僧と云。羊は卑き獣とす。獣中ニ如クレ羊ノ、僧ノ中に卑しと云心也。羊質など云、同心也。

されば張良が一巻の書にも、羊質虎皮は恥也と云て、外に虎勢を成て内に羊の心あるを武士の恥辱とす。是羊を卑とする故也。

とある。羊僧はけだし唖羊僧の略で、一つに※(「やまいだれ+亞」、第3水準1-88-49)羊僧ともあって、「愚痴の比丘善悪持犯を知らず、所犯の罪に随って悔除するを知らず、猶唖羊の死に至るまで声なきが如きもの」(『仏教大辞典』)と解している。口に衆生のために法を説かず、ただ自利をのみもっぱらとすというもの正にこれに相当するが、声聞を羊に譬えたことをもってこれと思い合わさば、羊僧すなわち声聞僧で、単に卑しい僧との義に用いたものと解せられるのである。