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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
小池助手の恐ろしい叫び声と銃声を聞きつけたからである。
彼等はそこに女幽霊の転がっているのを見た。不思議なことに、その幽霊の裾からは、二本の足がニューッと突き出していた。胸からは白衣を染めて真赤な血が流れ出していた。
暫くは何が何だか分らず、呆然として立ちつくしていたが、やがて、一人がそれと気附いて、幽霊の長髪をかき分けて見た。
「オイ、これはさっきの探偵さんだぜ。幽霊に化けて曲者を待伏せしていたのかも知れない。アア、もう脈が止まっている。あいつにやられたんだ。あいつはピストルを持っているんだぜ」
二人は恐怖に耐えぬもののように、竹藪の重なり合った闇の中を見廻した。
「それは一体どうしたというのです」
見上げると、そこに宗像博士が立っていた。
「あなたのお連れの方が、曲者の為に撃たれたのです」
「エッ、小池君が?」
博士は咄嗟にそれと察したのか、転がっている幽霊の側に跪いた。
「オオ、小池君、この様子では、あいつを見つけて組みついて行ったんだね。そして、こんな目に会ってしまったんだね。
アア、もう駄目だ、心臓の真中をやられている。よしッ、小池君、この仇はきっと取ってやるよ。