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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
怪人物R・K
……犯罪だ! 君、これは犯罪だよ。……悪くすると殺人事件だよ」
怪人物R・K
隅田川の夜更け、ボート遊びの男女が、吾妻橋の上から投げ捨てられた奇怪な錫の小函の中から、今斬り取ったばかりのような生々しい人間の指を発見して、色を失った、その翌朝のことである。
警視庁の中村捜査係長は、出勤の途中、ふと宗像博士を訪ねて見る気になり、丸の内の宗像探偵事務所に立寄った。
中村係長は、民間探偵とはいえ、宗像博士の学識と手腕に、日頃から深く傾倒しているので、何かというと、博士を相談相手のようにしていたのだが、殊に今度の三重渦巻の怪指紋の犯人の事件では、博士は被害者川手氏の依頼を受けて、その捜査に当っていることでもあり、何か新しい手掛りの発見でもないかと、時々宗像探偵事務所を訪問して見るのであった。
宗像博士は中村警部の顔を見ると、
「や、いいところへお出で下すった。実は僕の方からあなたのところへ出向こうかと思っていたところです」
といいながら、先に立って、警部を奥まった化学実験室へ案内した。
「ホウ、そうでしたか。じゃ、何か新しい手掛りでも……」
「そうですよ。マアお掛け下さい。