轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页

青空文庫

逃げ隠れをしたからといって、決してわたしは罪を犯した訳ではありません。人殺しなんて、全く身に覚えのないことです」

男装の女性は、さもさもくやしげに、ハラハラと涙を流してかき口説くのだ。

「ハハハ……、そんな筋の通らない理窟では駄目だよ。罪も犯さぬのに逃げ隠れする奴があるものか。だが、そのどうにも出来ない恐ろしい訳というのは、一体どんな事だね」

博士は半ば揶揄するように、嘲笑を浮べて訊ねる。

「アア、もう駄目です。どんなに弁解して見ても、あなた方が納得して下さる筈はありません。わたしは呪われているのです。あんないまわしい指を持って生れて来たのが、わたしの業だったのです」

「フフン、実にうまいもんだ。流石に君は名優だよ。そういうと、何だか、君は例の三重渦巻の指紋の持主ではあるけれど、殺人罪は犯さない。真犯人は外にあるのだとでもいうように聞えるね」

博士は懐中電燈の丸い光を、近々と相手の顔にさしつけ、どんな細かい表情の変化も見落すまいとするかのように、つくづくとその顔を見つめるのであった。

丸い光の中の女性は、一入悲しげな、絶望の表情になって、なおもかき口説く。