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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
だが、宗像君程のものが、そこへ気のつかぬ筈はない。ひょっとしたら、今晩あたり、宗像君単独で、その場所へ犯人を捉えに行っているかも知れないよ」
「そんな近い所なのか」
「ウン、北園というのはなかなか利口な女だよ。君達を錯覚に陥れようとしたのだ。引越しをして、家を空家にしてしまえば、その家はもう捜査網から除外されるわけだからね。その日から、一番安全な隠れ場所に一変する」
「エッ、するとあいつは、あの空家に隠れているというのか」
「若しその女が、僕の想像しているような賢い奴だったらね」
「ウーン、そうか。成程、あの手品使いの考えつきそうな事だ。よしッ、兎も角も確めて見なくっちゃ。明智君、僕はこれで失敬するよ」
「まア、待ち給え。君が構わなければ、僕も一緒に行ってもいい。……ア、電話だ。一寸待って呉れ給え」
明智は急がしく卓上電話の受話器を取って、一こと二こと話したかと思うと、その受話器を中村警部の方へ差し出しながら、
「君だよ。捜査課の徳永君からだ。何だかひどく慌てているぜ。重大な用件らしい」
警部はすぐさま受話器を耳に当てた。
「エッ、宗像博士が? 発見したって?……ウン、青山の……明神の境内だね。